Akastroid での最初の一枚:完全ウォークスルー

フレームのフォルダから仕上がった写真まで。各段階で何が起きているか、自動の判断のうちどれが覆す価値があるかを解説します。

天体写真ソフトの多くは、用語をすでに知っている前提で作られています。除外(リジェクション)とは何かを誰も説明しないうちに除外アルゴリズムを選ばされ、まだ見えてもいないデータにミッドトーン伝達関数を設定させられます。

Akastroid はその逆で、データを計測して判断し、何をなぜ決めたかを伝えます。このウォークスルーでは、実際のセッションをフォルダから仕上がった画像まで追い、各段階の裏で何が起きているかを説明します。判断の中身を知っていれば、良い結果とたまたまうまくいった結果を見分けられるようになります。

始める前に:フォルダに何を入れるか

Akastroid は、どの望遠鏡や天体カメラの FITS も、デジタル一眼やミラーレスから出たままの RAW ファイル(CR2、CR3、NEF、ARW、DNG など)も、惑星用の SER や AVI も読めます。変換の手順はありません。カメラが書き出したファイルをそのまま指定してください。

ディープスカイのセッションなら、ライトフレームをフォルダに入れます。キャリブレーションフレームを撮ったなら、ライトと同じ階層の darks、flats、bias サブフォルダに入れるか、IMAGETYP ヘッダーを残したまま同じフォルダに置いておきます。どちらでも自動で見つかります。キャリブレーションフレームがなくても、そのまま進めてかまいません。グラデーションを除去した未キャリブレーションのライトのスタックも、ちゃんとした写真です。

フォルダをウィンドウにドロップするか、フォルダを選択 を使います。解析はすぐに始まります。

第一段階:評価

合成の前に、すべてのフレームを一枚ずつ計測します。星の数、ピント、星の丸さ、背景レベル、流れです。

結果はフレームごとのスコアの表で、除外したフレームには 星の流れ、人工衛星・航空機の軌跡 2 本、ピントのずれ といった理由が付きます。黙って捨てられるフレームはありません。どの行もクリックすれば、どちら向きにも判断を覆せます。

ここで読み飛ばさずに見ておきたいものが二つあります。

離心率の警告は、星が楕円かどうか、そしてそれが追尾と光学系のどちらによるものかを示します。セッション全体で一貫していればコマ収差、像面湾曲、カメラのティルトで、どれか一枚のせいではないので、それを理由に除外されるフレームはありません。フレームごとに変わるなら追尾が原因で、悪いフレームが落とされます。この区別のおかげで、直せる光学系の問題のためにセッションを丸ごと捨てずに済みます。

選択枚数は、評価がどれだけ厳しかったかを示します。134 枚中 109 枚なら普通です。134 枚中 40 枚なら、先に進む前に理由を確認してください。セッションの途中で空が変わったのかもしれず、それは知っておきたいことです。

第二段階:長い処理の前の二つの判断

メインボタンの手前のパネルで尋ねられるのは最大で二つで、どちらも計測済みの答えが添えられています。

ドリズル はより高い解像度で再構成します。ただし実際のディテールを回収できるのは、フレームがディザリングされていた場合、つまり露出ごとにわずかに異なるサブピクセル位置に写っていた場合だけです。Akastroid は実際のフレームを計測して、たとえば 「109 枚が 57.1 px にわたってディザリングされ、サブピクセルの広がりは 0.91。ピクセルグリッド以下のディテールを回収するのに十分です」 と示します。条件を満たさなければオプションを無効にし、「ドリズルにはフレームが少なすぎます」 と表示します。これは好みではなく、集めたデータの性質です。

測光カラーキャリブレーション は、視野を色の計測された 148 万個の星のカタログと照合し、それらの星の実際の色からホワイトバランスを設定します。望遠鏡が向いていた位置がフレームに記録されている必要があります。Seestar、Dwarf、自動導入架台なら記録されます。トラッカーに載せただけのデジタル一眼では記録されず、オプションにそう表示されます。

どちらもデータに当てはまらなければ、両方オフのままボタンを押します。

第三段階:ボタンを押すと起きること

結果の品質が決まるのはここです。

キャリブレーション。 ダーク、フラット、バイアスがあれば適用します。続いて、ダークを撮ったかどうかに関係なく、ホットピクセルとコールドピクセルを統計的に修復します。ダーク減算では宇宙線のヒットは取れませんし、そもそもダークを撮っていない人がほとんどだからです。見分け方は、星は光学系によって複数のピクセルに広がり、欠陥は一つだけ孤立している、という違いです。

位置合わせ。 三角形のパターンでフレーム間の星を対応させます。三角形は平行移動、回転、拡大縮小があっても形が保たれます。経緯台(スマート望遠鏡はすべてこれです)では、セッション中に視野が回転するので、これがとても重要です。平行移動しか扱わない位置合わせは、こうしたデータではエラーではなくピント不良のように見える形で失敗します。

インテグレーション。 除外法は二つの計測値、つまりフレーム数と、夜の間に空のレベルがどれだけ変化したかで選びます。枚数が多く安定したセッションにはシグマクリッピング。透明度が変わったセッションには線形フィット・クリッピングを使い、ゆるやかな変化を前提として、そこから外れたものだけを除きます。枚数の少ないスタックにはウィンザー化クリッピングを使います。8 サンプルから分布を推定して値を捨てると、本物の信号まで捨ててしまうからです。

グラデーション除去。 低次の曲面を空にフィットして差し引きます。背景を黒に落とし込まず、全体のレベルは保ちます。

色。 背景はチャンネルごとのシフトで中立化します。スケーリングにしないのは、空と一緒に対象の色まで抜けてしまうからです。そのあと星の色からホワイトバランスを取ります。各星の周囲の空は、フレーム全体で一つの値ではなく、その星を囲む環状の領域から計測します。オリオンのように星が明るい赤い星雲の上に乗っている視野では、こうすることで星雲を星の一部として数えずに済みます。

デコンボリューション。 点像分布関数は自分の星から計測し、強さはスタックの S/N で決めます。次の三つの場合は実行せず、どれに当たるかを示します。ピクセルスケールで記録できる以上にすでにシャープな場合、ノイズが多すぎて回収するより増幅するほうが多い場合、星が伸びていて対称モデルでは楕円がダンベル形になってしまう場合です。

仕上げ。 ストレッチ、ノイズ除去、局所コントラスト、星の縮小。どのパラメータも画像の計測値から決めます。

134 枚のデジタル一眼セッションで数分かかります。惑星動画はもっと速く、75 フレームの撮影なら実際のスタックは 1 秒ほどです。

第四段階:三つのレンダリングと、どれを残すか

ナチュラル、エンハンス、ドラマチック の三つが同じデータから作られ、すぐに切り替えられます。違うのはストレッチの強さ、彩度、コントラスト、星の縮小で、元になる計測値は同じです。

既定はエンハンスで、たいていはこれで問題ありません。科学的な用途にはナチュラルを使ってください。ドラマチックは共有向けですが、それでも一定の範囲に収めていて、何かを描き足すことはありません。

スタック済み / 分割 / 処理済み の切り替えで、素のインテグレーションと仕上がったレンダリングを並べて見られます。ぜひ使ってください。スタックにあったものが処理済みの版で失われていれば、すぐに気づけるのはここだけです。

第五段階:多くの人が飛ばす「セッションの詳細」

ここにはすべての判断が書かれています。どのスタック法をなぜ選んだか、グラデーションをどれだけ除去したか、デコンボリューションを実行したか、その強さと計測した星の幅、色のキャリブレーションが成功したか、それともヒューリスティックに切り替えたか。

最初の一枚で一度読んでみてください。データに何が起きるかを知るには一番の近道で、自分の問題のどれが処理によるもので、どれが撮影によるものかもわかります。

何を、いつ覆すか

ほとんどのスライダーはそのままにしておいてください。「自動」になっていて、一般的な既定値ではなくアプリが計測した値が表示されています。触ってみる価値があるのは三つです。

黒レベル:背景がまだかすんで見えるなら。自動の値は、フレームのどれだけが空かから決まります。広視野なら 98 % で、目標値もそれに合わせて下がります。

星の縮小:見た目が気に入らないなら。好みの問題で、アプリもここには強いこだわりはありません。

彩度:同じ理由で。

どの画像でも 露出 を大きく下げているなら、上流のどこかがおかしいはずです。まず黒レベルを確認してください。

書き出し

最高品質 と プリント は、ネイティブ解像度で無圧縮の 16 ビット TIFF を書き出します。このあとさらに手を加えるならこれを使ってください。480×256 の惑星クロップは約 740 KB、フルフレームのデジタル一眼スタックは数十メガバイトです。どちらもロスレスで、サイズの差は品質ではなくピクセル数の違いです。

未処理のスタック画像を保存 ボタンもあります。仕上げを一切かける前のインテグレーション結果を書き出します。フレームに入っていたものをそのまま残した記録で、PixInsight や Siril で仕上げたいならここから始めるのが適切です。

結果に満足できなかったら

次の順番で確認してください。

  1. スタック済み表示を見る。 ディテールがスタックにないなら、どんな仕上げでも取り戻せません。問題は撮影か位置合わせです。
  2. セッションの詳細を開いてログを読む。 何が決められたかが書いてあります。ノイズが多すぎてデコンボリューションを見送ったスタックなら、露出に問題があることを示しています。
  3. フレームの表を確認する。 フレームの 3 分の 1 が除外されていたなら、そのセッションには調べておくべき問題があります。
  4. スライダーに手を伸ばすのは、そのあと。

経験を積んだ撮影者も、たいていは意識せずにこの順番で確認しています。この順番を守れば、当てずっぽうにスライダーを動かさずに済みます。

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自分のデータで試す

このガイドの内容を Akastroid がすべて自動で行い、何をしたかを表示します。

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