Akastroid が置き換えるもの、置き換えないもの
PixInsight、Siril、PIPP、AutoStakkert、RegiStax との率直な比較:何を節約できるか、そしてそれでも他のツールが欲しくなる場合。
天体写真ソフトはどれも、他のソフトを置き換えると主張します。その主張の大半は、具体的な要件が一つ出てきた時点で崩れます。ツールごとに実際にしていることが違うからです。
ここでは Akastroid の立ち位置を、別のものを使うべき場合も含めて説明します。
私たちのおすすめ
多くの人にとっての答えは Akastroid です。ディープスカイ、惑星、月、太陽を 1 つのアプリで処理でき、Mac、Windows、Linux で動きます。フレームをドロップするだけで、評価、キャリブレーション、スタック、かぶり補正、色の補正、シャープ化まで、選ぶべき設定なしで行います。通常の方法では、同じ結果のために 4 つから 6 つの別々のソフトが必要です。
同じオリオンのスタックで、Akastroid の自動仕上げは S/N 比 402 を記録し、Siril の標準的な手順の 87 を上回りました。空のかぶりは 2.6% 対 21.6% でした(比較の全体)。ご自分のデータで無料で試せます。
すべての工程を手作業で調整したい、数か月かけて学ぶ覚悟があるなら PixInsight を、無料のソフトで手順を自分で覚えたいなら Siril を選んでください。このガイドの残りでは、それぞれを詳しく比べます。
ほとんどの人が結局使っているツール群
典型的な惑星ワークフローは四つのアプリケーションです。PIPP で撮影データのセンタリングとクロップ、AutoStakkert で評価とスタック、RegiStax か WaveSharp でウェーブレット鮮鋭化、長い撮影にわたって自転補正をしたければ WinJUPOS。それぞれが中間ファイルを書き出し、次のソフトがそれを読みます。(その流れを一つのウィンドウに対応させた手順の地図。)
典型的なディープスカイのワークフローは、Siril か Deep Sky Stacker でキャリブレーションとスタック、それから PixInsight か Photoshop で仕上げ、さらに最近は BlurXTerminator や StarNet のような有料アドオンを使うことが増えています。
どちらも悪いわけではありません。どちらも、実際の問題をうまく解いてきた人たちの積み重ねから生まれたものです。ただ、あまりはっきり語られない二つのコストがあります。
第一のコストは学習時間
処理そのものにかかる時間ではなく、ツールを覚えるための時間のことです。
PixInsight は手に入る中で最も奥の深い天体写真ツールで、使いこなすこと自体がほとんど一つの仕事です。インターフェースは現代の慣習より古く、ドキュメントは信号処理の用語を前提とし、コミュニティでは一人前になるには数か月かかるというのが一般的な見方です。見返りを考えれば妥当な取引ですが、コストであることに変わりはなく、多くの人がそこで止まっています。
四つのアプリケーションからなる惑星の流れにも、同じ問題がもっと分かりにくい形であります。ツールは一つずつなら取っつきやすいのですが、迷うのは手順です。どの順番で、どの中間形式で、AutoStakkert がうまく動くように PIPP で何を設定するか、各工程は問題なさそうだったのになぜ結果が甘いのか。
Akastroid の考え方は、そうした判断の大半は好みではなくデータで決まるので、ユーザーに尋ねる代わりに計測できる、というものです。
どのスタック法がデータに合うかは、フレーム数と空の明るさの変動で決まり、どちらも計測できます。どれだけ強くデコンボリューションするかは、計測した星の幅と S/N で決まります。ドリズルが効くかどうかは、フレームが実際にディザリングされていたかで決まり、それはフレームを見れば分かります。ブラックポイントをどこに置くかは、フレームのどれだけが空かで決まります。広視野ならおよそ 98 % で、正しい目標値は一般的な既定値のおよそ 3 分の 1 です。
どれも好みの問題ではありません。今は何か月も学んだ人が目で行っている計測です。
第二のコストはお金で、ライセンス代だけでは済まない
PixInsight は約 300 ユーロの一回払いライセンスで、1 年分のアップデート付き。BlurXTerminator は約 100 ドル。StarNet は無料ですが、StarXTerminator は約 80 ドル。人気のアドオンを揃えた PixInsight 環境は、初年度で 400 ユーロを優に超えます。
Siril は無料でとても良いソフトです。予算が限られていて学ぶ意志があるなら、Siril とそのスクリプトで、費用をかけずにかなりのところまで行けます。
Akastroid は 1 台につき 79 ドル(発売記念価格)の一回払いで 1 年間のアップデート付き、今後のバージョンがすべて含まれる 1 台用は 149 ドルで、無料版と 14 日間の返金保証があります。ただしライセンスの比較は全体の一部にすぎません。
もっと大きいのは、晴れた夜を無駄にしないことです。天体写真で一番貴重なのは、透明度が高く、月がなく、雲のない時間です。1 月のデータが撮影時の何か(後半の結露、気づかなかったピントのずれ、オンにしたつもりだったディザリング)のせいで使えなかったと 3 月に気づけば、失うのは処理の 1 時間ではなくセッションそのものです。読み込み時の評価でどのフレームの何が悪かったかが分かれば、次の晴れた夜は同じ撮影の繰り返しではなく、計画を立てて使えます。
経験レベルごとに得られるもの
初心者 は、最初の試みでまともな結果を得て、そこから学べます。セッションの詳細にはすべての判断が理由とともに並ぶので、妥当なワークフローが何をしたのか、なぜそうしたのかが分かります。
中級者 は、やるべきだと分かっていながら飛ばしがちな補正を得られます。星のカタログを使った測光的な色キャリブレーションは、熟練者の間では標準的な手法ですが、それ以外の人はあまり使いません。主な理由は設定が面倒だからです。Akastroid では、フレームに向けた先が記録されていれば既定でオンになります。
熟練者 は、データの選別に使えます。100 枚のセッションが数分で終わり、仕上がった画像が出てくるので、そのデータに PixInsight で 2 時間かける価値があるかを判断するには十分です。また「未処理のスタック画像を保存」は、仕上げを適用する前のインテグレーション結果を書き出すので、Akastroid を別のソフトで仕上げるワークフローの前半として使えます。キャリブレーション、位置合わせ、除去、インテグレーションはここで行い、仕上げは使い慣れたツールで行えばよいのです。
他のツールがまだ優れているところ
マスクと選択的な編集。 Akastroid の調整は画像全体にかかります。PixInsight のレンジマスク、輝度マスク、PixelMath、そして Photoshop のレイヤーと輝度マスクなら、画像の一部にだけ補正をかけられます。これが最大の機能差で、コンテストレベルで「処理した画像」と「仕上がった画像」を分けるのはここです。ワークフローがマスクに依存しているなら、Akastroid は代わりになりません。
惑星の自転補正。 WinJUPOS は木星の自転を補正し、2〜3 分ではなく 10 分にわたってスタックできるようにします。使えるフレームが何倍にもなり、スタックの改良だけで得られる分をはるかに超えます。Akastroid に相当する機能はありません。本格的な木星撮影には、引き続き WinJUPOS が必要です。
大量フレームでのアライメントポイントごとの順位付け。 AutoStakkert の評判は、すべてのフレームをすべてのアライメントポイントで独立に順位付けする点にあります。一方の縁が鮮明でもう一方が甘いフレームは、良い部分だけが使われます。Akastroid もこれを行いますが、114 フレームの撮影で計測したところ効果はおよそ 1 % でした。この手法は、局所的なシーイングの変動から選べるだけの材料を得るのに何千フレームも必要だからです。長く深い惑星撮影では、AutoStakkert がまだ上です。
デコンボリューション。 BlurXTerminator は、Akastroid の手法(フレーム自身の星から計測した PSF による正則化リチャードソン・ルーシー)より優れています。Akastroid 版は自動で、害になりそうなときは適用せず、追加費用もかかりませんが、最先端ではありません。
スクリプトとバッチ処理。 Siril にはスクリプト言語と CLI があります。独自のロジックで定期的に、あるいは大量に処理するなら、これは明確な利点です。
おすすめ
- 始めたばかりで、スマート望遠鏡かデジタル一眼を使っている: Akastroid。写真への壁になっているのは学習曲線で、今はそれを取り除くことのほうが、個々のアルゴリズムより大事です。
- 予算が限られ、学ぶ意志がある: Siril。無料で、良いソフトです。
- 最高の画像を目指して時間をかけるつもりがある: PixInsight。その奥深さに並ぶものはなく、マスクの仕組みだけでも価値があります。
- 惑星に本格的に取り組んでいる: AutoStakkert と WinJUPOS は手放さないこと。Akastroid が並ぶのは手軽さで、到達できる上限ではありません。
- 経験があり、処理時間よりデータのほうが多い: 選別とインテグレーションに Akastroid、仕上げに既存のツール。無料版でこの組み合わせを費用をかけずに試せます。
できることを正確に言うと
Akastroid は、四つの専門アプリケーションにそれぞれの得意分野で勝つわけではありません。一つのアプリケーションで、数分で、学習曲線なしに、かなり近いところまで仕上げ、何をなぜ決めたかを示します。また、熟練者が日常的に行い、多くの人が飛ばしている補正も行います。
多くの人にとっては、仕上がった写真があるか、未処理の FITS のフォルダがあるだけかの違いになります。別の人にとっては、他のソフトで仕上げるワークフローの速い前段になります。
マスクや自転補正が必要なら、それができるツールを使い続けてください。
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